ストーリー
スターリングラードの攻防戦が集結した後、生き残った10万人近いドイツ兵が、シベリアの虜囚となった。彼らは、戦争終結後も祖国へ帰ることを許されず、主要所で強制労働に就かされていく。苛酷な環境と粗末な食料のために、捕虜達は次々と病に倒れていったが、ソ連軍は満足な治療をしようとしない。ドイツ人捕虜の中の軍医、ベーラー大尉は、脳外科の権威でもあったが、捕虜の手による医療行為を硬く禁じていた。ある日ベーラーは、盲腸炎を起こして手遅れになりそうだった若い捕虜を、密かに戦友達の協力を得て手術する。このことはすぐに収容所のソ連軍にも伝わり、ベーラーは処罰されそうになる。しかしちょうどその頃、収容所長の幼い一人息子が、脳の腫瘍のために緊急に手術が必要であることが判った。新たに赴任してきたソ連軍の軍医クレシンは、脳外科医としてのベーラーの名声を知っており、彼に所長の息子の手術の執刀を依頼する。しかしベーラーは、首を縦に振ろうとはしない。「仲間の捕虜の治療が許されない状況で、他人の治療に関わることはできない。」と。ソ連とドイツ、男達の良心と生存をかけた戦いが、地獄の収容所を舞台に展開していく。