ストーリー
第1話 「交渉人」
一人の日本人サラリーマンがパキスタンでダコイットに誘拐された。多額の身代金が会社に要求されるが、交渉に向かった人間がダコイットに殺され、交渉は暗礁に乗り上げてしまう。父の身を案じた人質・岩瀬氏の娘繭子は、別府勇午がプロの交渉人であるとの記者の言葉を頼りに、勇午の事務所を訪れる。しかし、ダコイットとは単なる犯罪者集団ではなく、強い信仰を背景に持つ反政府ゲリラ集団であり、しかも今回の事件の首謀者は「地獄の勇者」と呼ばれ恐れられているアリという男。今回の仕事は危険すぎると反対する友人に対して勇午は大切なのは信仰ではなく「信頼」だと言い、人質の命を救うため単身パキスタンへと乗り込む。
第2話 「決意」
カラチへと降り立った勇午はハジという老人に会うため、ジンナー旅行社を訪ねる。ハジはその昔、アリが付近のダコイットの指導者(シェイク)たちを次々と殺して勢力を拡大していった中で、唯一殺されず生き残ったシェイクであった。しかし、カラチでハジと対面した勇午は、アリがハジを殺さなかった本当の理由を聞く。アリはメッカを巡礼したことのあるハジを殺すことなく、命乞いをした卑怯者という烙印を背負って生き続けさせるために、敢えて命を奪わなかったのだと。そしてハジの協力を得て、途中で出会った踊り子の娘・ライラとともにクエッタへ向かう。