ストーリー
●賎機帯(しずはたおび)●
謡曲「隅田川」と「桜川」をひとつにしたようなもので、文政十一年の山王様(日枝神社)の祭礼に踊り屋台で演じられたのが初演。
作曲者は、四代目杵屋三郎助、後の十代目杵屋六左衛門だが、妻女が一中節、河東節に通じていた関係から三郎助も浄瑠璃に造詣が深かった。
鞨鼓のくだりなど一中節の「尾上雲賎機帯」をそのまま使ってある。
●高尾懺悔(たかおざんげ)●
吉祥寺にある榊原高尾の新しい塚の前へ、人々に追われる八百屋お七が逃げてきて倒れるのを介抱しようと庵室を出た道哲も気を失って倒れる。
その後、高尾の亡霊があらわれ、身の罪業をさんげする。
●安達ケ原(あだちがはら)●
杵勝の流派にとっては大事な曲で「船弁慶」、「虎狩」とともに【杵勝三伝】として伝承されている。
曲全体を通じ荒涼たる奥州の晩秋の気分をあらわし、物語が進行するにつれ鬼女となってからの気迫と凄味を申し分なく描き出し少しのゆるみも見せずにこの長編をまとめ上げた、二代目勝三郎作曲の謡曲物中の傑作である。