ストーリー
1939年の秋、ベルリンのラジオ局に勤める美貌の女性アナウンサー、マリアは、婚約者のクルト、同僚のベックと3人で、豪華客船グストロフ号による大西洋クルーズの船旅に出かけた。グストロフ号は、ナチ党がその威信をかけて建造した白亜の豪華客船。党の支持者でもあれば、誰でもわずか40マルクで太平洋クルーズを楽しめる、いわば”ドイツ民族団結のシンボル”でもあったこの船にはプールや映画館などあらゆる施設が完備され、人々は快適な船旅を楽しんでいた。しかし、ある日パーティーを楽しむ船長の下へ、本国への帰還命令が届けられる。遂に第二次世界大戦が始まったのだ。次第に悪化する戦況の中、ソ連軍に終われマリア達が命からがら向かった港には、かつての白亜の豪華客船の姿があった。今や難民船として、7000人の運命を乗せて出航したグストロフ号は、しかしその淡い期待もむなしくソ連軍潜水艦の放った魚雷に撃沈され、乗客たちは暗い夜の海に放り出されてしまう・・・。